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企業買収の目的とメリット

企業買収の6つの目的

買収対象会社の「商品・サービス」および「市場・顧客」が自社と同じか異なるかによって、買収目的は以下の6つに分類されます。

  • ① 商品・サービスの拡充
  • ② 規模のメリットの追求
  • ③ 周辺分野への進出
  • ④ 新規事業の獲得
  • ⑤ ライバル企業の買収
  • ⑥ 川上・川下への垂直統合

買収目的の詳細および弊社のお客様の買収目的の分布はこちら

企業買収のメリット

企業買収のメリットとしてよくシナジーの創出があげられますが、そもそもシナジーとは何か、M&Aのシナジーにはどのようなものがあるかご説明いたします。

まずシナジーとは、2社以上の企業の能力や資源を結合することにより、各社単独で生み出しうる価値の合計を上回る価値を生み出す効果のことです。つまり、よく言われるように1+1が2より大きい効果を出すということですが、どのような効果が出るかによって、シナジーは以下のように何種類かに分類されます。

①売上シナジー

  • 同じ市場・顧客に対する商品・サービスの拡充(クロスセリングを含む)
  • 販売チャネルの獲得(川下への進出)
  • 営業ノウハウの移植
  • ブランド力活用
  • 会社の知名度、信用力を活用
  • 商品・サービス開発力の向上
  • シェア向上による市場支配力、価格支配力アップによる売上・利益の向上(業界シェア上位企業同士のM&A)

ある会社を買収すれば、その会社の売上を取り込むことができるので、その分グループ全体の売上はアップしますが、これは単純に売上が1+1=2になっているだけです。ここでいう売上シナジーとは1+1が2を超えるようなシナジーのことを指しています。

②コスト削減シナジー

  • 仕入れコストの削減(規模の拡大による交渉力アップ、川上への進出等)
  • 販売コストの削減(販売拠点の統廃合等)
  • 物流コストの削減
  • 製造コストの削減
  • 間接部門コストの削減
  • 研究開発の合理化(開発人員の削減、開発の効率化)

③リスク分散効果(業績の安定化)

これはシナジーに含めない場合もありますが、多くの経営者は事業間のリスクを分散して中長期に渡って安定的に会社を経営したいという思いを持っています。一つの事業、一部の顧客に売上が集中していると、業界が不況になったり、主要顧客が倒産したり、離れたりするとたちまち経営危機に陥ってしまうためです。

④経営手法の導入・社員の意識改革(売上アップまたはコストダウンにつながる)

経営管理手法の導入による業務効率化や無駄の排除、また企業文化の移植よる社員のモチベーション・生産性の向上もシナジーに含める場合があります。

⑤財務力強化

これは財務内容が良い会社同士が経営統合した場合に、資金調達力(借入余力)が大きくなったり、資金調達コストが下がったり(より低利で資金調達できる)することです。いわゆる勝ち組同士のM&Aにより実現する効果です。

それぞれの買収目的によって、代表的な3つのシナジーである「売上シナジー」、「コスト削減シナジー」、「リスク分散効果」がどの程度働くかを以下にまとめました。

売上シナジー コスト削減シナジー リスク分散効果
商品・サービスの拡充
規模のメリットの追求
周辺分野への進出
新規事業の獲得
ライバル企業の買収
川上への垂直統合
川下への垂直統合

◎よく当てはまる ○当てはまるケースが多い △あまり当てはまらない ×通常当てはまらない

シナジーと聞くと一般的には売上シナジーを想像する場合が多いかもしれませんが、この表を見ていただければ分かるように、M&Aは実は売上シナジーよりもコスト削減シナジーが働く場合が多いのです。

またM&Aはシナジーがあれば成功、なければ失敗ということではありません。あえてシナジーを追及しないM&Aもあります。重要なのは自社の戦略に合致するM&Aか、シナジーを正しく想定できているかということです。

負のシナジーとは?

シナジーを考えるときには、M&Aによる負の側面も考慮しなければなりません。例えば、M&Aを契機に顧客が離れること、経営陣・社員が辞めること、社員のモチベーションの低下、ITシステム等の統合に関わるコスト等です。これらは負のシナジーと呼ばれます。(マイナスのシナジー、ネガティブ・シナジー、ディスシナジーと呼ばれることもあります。)

もう一つM&Aによる負の側面として、スタンドアローン問題についても、特に買い手企業は知っておく必要があります。これは買収対象があるグループ会社の一社であったり、ある会社の一事業であったりする時に、そのグループ、会社から分離独立されることによって生じるマイナスの影響のことです。

例えば、間接部門(財務会計、人事総務等)、仕入れ、生産、販売等の機能をグループ会社や他の事業部で行っていた場合に、買収対象の会社・事業だけ切りだして買収した場合に新たなコストが生じることがあります。これをスタンドアローンコストと言い、買い手は交渉時にはビジネスモデルをよく理解した上でこれらのコストを試算し、条件交渉に活かす必要があります。

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