60歳で引退するため、消防設備点検・工事会社(売上:約1億円)を、消防設備サービスを内製化したいビルメンテナンス会社に売却。
売り手企業
事業内容 | 消防設備点検・工事会社 |
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売上 | 約1億円 |
売却理由 | 後継者不在 |
買い手企業
事業内容 | ビルメンテナンス会社 |
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売上 | 約15億円 |
買収目的 | 商品・サービスの拡充 |
スキーム | 株式譲渡 |
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概要 | 売却対象会社である消防設備点検・工事会社は、高い技術力とサービス品質が評価され、小規模ながら安定した経営を続けてきた。取引先も安定しており、実質無借金経営で、財務も健全な優良企業であった。 しかし、同社の社長は、以前から60歳で引退すると決めており、従業員へ経営の引き継ぎの打診も行ったが、経営を引き継ぎたいという意欲のある者が出てこなかったため、会社を売却し、買い手に経営を託すことを決断した。 買い手企業であるビルメンテナンス会社は、ビル関連サービスを提供する企業の買収により、清掃以外のサービスラインを拡充することを計画していた。同社は、売却対象会社の技術力・実績・顧客基盤・財務内容を高く評価し、本件M&Aに強い興味を示した。 売却対象会社の内容の良さと同社社長の誠実な人柄から、同社は人気案件となり、最終的に6社が買収意向を示した。 その中で、売り手社長の意向を最も斟酌した条件を提示した買い手のビルメンテナンス会社が、譲渡先として選ばれることとなった。 売り手社長は、株式譲渡後も一定期間は社内に残り、従業員の指導・取引先との関係維持に努める予定である。 【消防設備点検・工事会社のM&A・売却・事業譲渡】 消防設備点検・工事会社の受注単価は低下傾向にあります。 さらに、消防設備点検・工事会社の主要な顧客であるビル管理会社が、発注先の選別を進めており、小規模な消防設備点検・工事会社が既存の取引先を維持できないケースも増えてきています。 このような厳しい経営環境において、生き残るためには一定規模の確保が必須となってきており、規模拡大を目指すM&Aが活発化しています。 今後も、中堅の消防設備点検・工事会社による同業の買収や、ビル管理会社やビルメンテナンス会社による消防設備点検・工事業務の内製化のためのM&Aが、増えると考えられています。 さらに、消防設備点検・工事会社の経営者の多くが引退の年齢を迎えており、後継者問題・事業承継問題を解決するためのM&Aも増加傾向にあります。 ■消防設備工事業界の2024年問題と解決策としてのM&A 2019年4月から全業種を対象とした「改正労働関係法令」が施行され、時間外労働の上限規制が適用となっていますが、消防設備工事会社においては迅速な環境改善が困難であることから、当該規制の適用が2024年まで猶予された状態にあります。 最も大きな影響は、労働時間の上限規制です。この規制に対応するためには、従業員を今よりも多く確保する必要があり、慢性的に人手不足の環境にある小規模の消防設備工事会社では対応に限界があります。また、2023年4月からは月60時間超の時間外労働への割増賃金率が25%から50%に増額されるため、業績面での影響も小さくありません。 この2024年問題の解決策として、M&Aにより、豊富な労働力を有し、強い採用力を誇る大手消防設備工事会社のグループに入るという手法が注目を集めています。実際に、当社へのご相談の中でも、2024年問題への対応を見据えて、M&Aにより大手消防設備工事会社の傘下に入ることを検討する経営者様が増えてきています。 インテグループは、消防設備点検・工事会社のM&Aに多くの実績を有しておりますので、会社のご売却をご検討中の経営様は是非ご相談ください。 参考:消防設備点検・工事会社のM&A・売却・事業譲渡 |