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株式会社デジタルデザインサービス

コロナ禍を機に進めたM&Aは「120点」決め手は譲渡先社長からの長文メッセージ

譲渡企業譲受企業
㈱デジタルデザインサービス㈱コアコンセプト・テクノロジー
大阪府東京都
技術者派遣・システム開発デジタルトランスフォーメーション支援
スキーム 株式譲渡

1998年創業のデジタルデザインサービス(本社・大阪市北区)は、設計支援ソフトウェア「3D CAD」に関するサービスを提供する会社です。同社は高い技術で、多くの製造業者のものづくりをサポートしてきました。創業者である加藤浩社長は2024年4月、「DX支援サービス」や「IT人材調達支援サービス」を展開するコアコンセプト・テクノロジー(本社・東京都豊島区)に全株式を譲渡しました。決断の背景に何があったのか―加藤社長にお話を伺いました。

 

3D CADに可能性を感じて創業

まずは、デジタルデザインサービスの事業について教えてください。

デジタルデザインサービスは、1998年の創業以来、3D CADに関するあらゆるサービスを提供してきた会社です。設計請負、技術者派遣、ソフト販売などによって、メーカーのあらゆる業務を支えており、顧客には大手企業から中小企業まで幅広いお客さまがいます。

どのような経緯で創業したんですか?

私はもともと高専の機械工学科の出身で、学生のころからものづくりが好きでした。その関係で、初めての就職では松下電器グループの設計部門に入りました。

そのときは、まだドラフターという機械で紙に設計製図を行っていましたが、その後、設計がコンピュータのCADで行われるようになると、そちらに将来性を感じて外資系のコンピュータソフトウェア会社に転職しました。その会社で、メーカー向けに3D CADのソフトウェアを販売することや、3D CADを用いた設計開発サポートを行うことを学び、33歳で自立してデジタルデザインサービスを創業したのです。

これまでの事業運営において大切にしてきたことはありますか?

お客さまからの要求に誠実に答え、義理・人情・恩・感謝を大切に、頼っていただいたら決して裏切らない姿勢を大切にしてきました。

メーカーさんは厳しい競争環境のなかで戦われているので、私たちの仕事に対しても、当然厳しくなります。アウトプットの高い品質を求められますが、その仕事から逃げずにやることを心に決めていました。実際に仕事を完遂したときには、「本当に頑張ってくれてありがとう」と感謝していただくことも多く、そのときはなににも代えがたい嬉しさがありました。

御社は、勤続年数が10年を超える社員が多いのも特徴ですね。人材育成において意識されたことはありますか?

お客さまの求めるものを理解して、それを形にできる技術者を育成することは、もっとも苦労し、難しかったことです。正直に言って、いまでも人材育成の“肝”を理解したとは思えないのですが、それでも長く働いてくれて、豊富な経験を持つ社員が育ってくれたことは、ありがたいことでした。

人を育てるうえで特に大切にしたのは、採用の時点から「能力」よりも「人柄」を重視するということです。技術や能力は後々自然と身についてくるものだと思っていたので、義理・人情・恩・感謝を大事にする人を雇って、長く育てたいと考えてきました。

この会社を経営してきてよかったと思いますか?

もちろんです。この仕事は、自分の技量、技術でお客さまに貢献ができて、喜んでいただける仕事です。多くのお客さまと触れ合うなかで、「自分のやっていることがどう世の中に役に立っているのか」を、肌で感じることができました。

社名に「サービス」という言葉を入れたのは、“お客さまの顔を見て仕事をし続けたい”という願望を込めたからなのですが、その通りの仕事ができてきたと思います。

コロナ禍を機に心境の変化が

今回の企業譲渡を行った理由を教えてください。

正直に言うと、新型コロナウイルスが流行する前までは、死ぬまで働こうと考えていました。死ぬまで現役で働いて、会社は社員の誰かに引き継ごうと思っていたのです。

ところが、コロナ禍になったときに、ふと自分の限界を冷静に見つめるようになりました。冷静になると、「もし私が突然倒れて、社員たちを路頭に迷わすことになったらどうしよう」と、急に恐ろしくなったのですね。

そのタイミングで、M&Aの仲介会社から多くの手紙をいただくようになり、少し話を聞いてみようという気持ちになりました。

そのタイミングでは、社員のどなたかに会社を引き継ぐ選択肢はなかったのでしょうか?

それもやはり、「背負わせるのは酷だな」と思い直したのです。銀行からの借入金などもありますし、いきなり誰かにリスクを負わせることはとてもできません。それよりも、大きな企業にM&Aで経営を託すほうが、従業員を守ることにつながると思いました。

買い手の選定では3社と面談を行ったそうですが、コアコンセプト・テクノロジーに決めた理由を教えてください。

買い手の選定は、事業内容に共通点があることや、売却後に従業員を大切にしてくれる企業であることを重視して選んでいきました。

実は、最初にコアコンセプト・テクノロジー様のご紹介を受けたときは、「うちとは合わないだろう」と考えていました。というのも、こちらはベタベタな関西企業なのに対して、あちらはホームページから何から、すべてがものすごくカッコよくて、スタイリッシュなんですね(笑)。それに技術の面でもエリート集団ですので、当社の社員がその会社に混じって働くイメージが湧きませんでした。

しかし、コアコンセプト・テクノロジー様は、1回目の面談から金子社長が自らいらっしゃって、誠実に向き合ってくださった。私が正直に「御社とは技術力に差があると思います」とお伝えしても、「デジタルデザインサービスさんにもいい技術者さんがいるので、お互いに相乗効果が出てくるはずです」と、はっきり答えてくださいました。

その誠実さが決め手となったのですね。

はい。それと、いちばんの決め手は金子社長が面談のあとに送ってくださった長文のメールでした。そのなかの「社員一人ひとりに光を当てて、人が主役となる発展を目指して一緒にやっていきましょう」という一文が、本当に心に刺さったのです。

それまではM&Aへの不安が絶えずありました。私が良かれと思って譲渡をしても、社員から見れば良くない結果になるのではないかと怖かった。その不安が、金子社長の一文を見たときになくなったのです。この会社ならば、一緒になったあとでも従業員を大切にしてくれるだろうという確信を持つことができました

加藤さんはそのまま早期引退を希望していたとのことですが、3年間は社長として残ることになったと聞いています。その心境の変化は、どうして生まれたのでしょうか?

60歳ですので、当初は早くに引退して、残りの人生を家族と旅行などをして過ごしたいと思っていました。ただ、インテグループの佐藤さんに「しばらく舵を取って、良い形でバトンタッチをするほうが、売却先の選択肢も広がる」とアドバイスをいただいていたことで考え直しました。

いまとなっては、新しい親会社のなかで社員が上手くやっていけるかを見守る期間をいただけたと捉えています。家内にも「旅行はできるようになったときでええやん」と言われました(笑)。

現在、働くなかでモチベーションは譲渡前と比べて変化はありますか?

モチベーションは変わらないのですが、気持ちとしては楽になりました。いままでは最後の砦が自分である緊張がありましたが、その役目をコアコンセプト・テクノロジー様が引き受けてくださったので、安心感があります。

社名もそのまま残してくださいましたし、肩書もそのままということで、表向きには何も変わったことはありません。3年後により安心して引退できるように、頑張れるうちは頑張らせていただこうと思っています。

今回の譲渡に満足していますか?

100点満点で言うと120点です(笑)。インテグループの佐藤さんにご支援していただいて、よい会社様、社長様と巡り合えて大満足でした。

いちばん低い見積もりだったが誠実さを感じた

インテグループの印象について教えてください。数ある仲介会社から、どうしてインテグループを選んだのでしょうか?

4社ほどの仲介会社からどこにしようかを考えるなかで、インテグループさんは初回の面談から佐藤さんが、大阪までわざわざ足を運んでくださったという印象の良さがありました。

それと、ほかの仲介会社と比べて、インテグループさんは当社の評価額をいちばん低くお見積もりされました(笑)。普通だったら、それではアカンとなるのでしょうけど、私には正直に、うそ偽りなく評価額を伝えてくれた誠実さが伝わってきたのです。

この会社ならM&Aで乗り越えなくてはいけない様々なことも、伴走して一緒に乗り越えてくれるだろうと感じました。また、実際に私の納得できる評価額で売却できたので、改めて誠実なお見積りだったなと思います。

譲渡活動を進めるなかで、デューデリジェンスに苦労したと聞いています。

契約締結までは社員に譲渡のことを言えないので、デューデリジェンスに必要な書類は、すべて自分で用意しなくてはいけませんでした。私はそういった作業が大の苦手なのですが、佐藤さんはもう、本当に微に入り細に入り、助けてくださいましたね。佐藤さんがいなかったら絶対に乗り越えられなかったと思います。

東京から何度も関西に来てくださいましたし、メールや電話、リモートなどでも、絶えず心配をしてくれました。ときには私の愚痴を聞いて、精神的に支えとなってくれたこともあります(笑)。

佐藤さんを見ていて思ったのですが、「私が同じ年齢のときにこれだけの仕事ができたかな」と考えたら、絶対に無理だと思いましたね。本当に素晴らしいと思いました。

逆にM&A全体を通してインテグループへの改善要望はありますか?

佐藤さんに対してまったくないです。実務能力もあって、ハートもある熱血漢で、本当に感謝をしています。

インテグループさんに対しては、知名度をもっと高めていただきたいと思いました。われわれが関西の企業ということもあるでしょうけど、関西ではまだそこまで認知をされていないと思います。私はたまたま巡り合うことができましたけど、本当に良い会社だと思うので、もう少し関西でも知られてほしいということは、願望として抱かせていただきました。

最後に、売却を検討している経営者に向けて、メッセージをお願いします。

大層なことは言えないですけど、M&Aに興味があるのならば、自分の頭の中でいろいろと考えるよりも、まずは行動を起こして、仲介会社に話を聞いてみることをおすすめします。

また、もう1つ私が身に染みて感じたのは、M&Aの仲介会社選びはすごく大切なポイントだということ。いい会社に巡り合えるかどうかは、仲介会社次第なところがあります。私はインテグループさん、そして佐藤さんという人のおかげで素晴らしい会社と巡り合うことができました。

インテグループ担当者からの一言
創業25年、手塩にかけて育てたソフトウェア開発/販売・技術者派遣会社を上場しているDX支援会社へ譲渡。大手企業とタッグを組んだ成功事例
デジタルデザインサービス様は、大阪府を地盤とし、主に製造業のクライアント向けのソフトウェア開発/販売・技術者派遣会社を行う会社です。
創業時から加藤社長を中心とした役職員の皆さまのお力で、安定した業績を残されてこられました。しかしながら、ご後継者様がいらっしゃらないことや、将来にわたり従業員の皆さまの雇用を守っていきたいという想いで、M&Aをご決断されました。
お相手は、東証グロース市場に上場し、クライアントのDX支援を行っているコアコンセプト・テクノロジー様で、担当の方々の誠実なお人柄や金子社長からの熱いメッセージが加藤社長に響き、ご縁を取り持つことができました。
コンサルティング部
シニアマネージャー  佐藤優哉