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アテンドグループ

「いまの業務にターボがかかる」新潟有数のITサービス会社がさらなる成長のため決断

譲渡企業譲受企業
アテンドグループ日本グロース・キャピタル
新潟県東京都
ITサービス投資ファンド
スキーム 株式譲渡

Webサイトの構築を行うITサービス会社アテンドをはじめ、ネット風評被害の対策や検索エンジンからの流入を増やすSEO(検索エンジン最適化)を行うIT関連企業などを次々と設立したアテンドグループ(新潟県長岡市)代表の上村義明社長(61)。初めは懐疑的だったM&Aですが、経営や事業を加速させる「ターボ」の役割になると確信して、譲渡を決断しました。創業の経緯から譲渡の決め手、変わらぬ企業理念をお伺いしました。

 

「新潟をITで1位に」…IT関連企業を次々と設立

2000年にITサービスの会社「アテンド」を創業。それまでは会社員として働いていたそうですが、会社員から創業者への変化はどのような思いがありましたか?

定年まで働こうと思っていましたから、起業するつもりは少しもありませんでした。23歳で当時最年少の新潟支店長になり、「支店の営業マンたちをトップにする」という目標も達成し、常にやりがいを感じていました。ただ、会社と自分のIT化への意識のズレが出てきて、それなら起業しようと。会社では、配信や通信にかかわる業務もしていましたし、社会の流れを見ても「やるならITだ」と思いました。

「アテンド」では、サイトの構築やWebコンサルタントを行っていますね。

創業した23年前は、各事業者がコーポレートサイトを作成し始めたころでした。「だれでもホームページが作れる」という本が売れる一方で、200万円近い制作費がかかる場合があり、「適正な値段がわからない」という状態でした。ただ、私がお付き合いをしてきたお客さんは、こちらが提示する金額で契約してくれました。「こういうことをしますから予算をください」と伝えたら「わかった」と。ありがたかったですね。

上村さんの「人」を買ってくださった、ということでしょうね。

コーポレートサイトの場合、一般的には、サイトを作って公開したら終わりです。ただアテンドは、月に1回、必ずお客様を訪問します。運用していて悩みごとはないか。会社はどこを目指しているか。お堅い話だけでなく、世間話もしていると、なにかと要望が出てきます。社内ネットワークを作りたい、経理もデジタル化したい、と。

サイトにも「5カ年計画でホームページを『育てる』」とありました。

ホームページの公開・運営・更新にも、企業経営と同じく短期・中期・長期の計画と戦略を持つことをお勧めしてきました。短期ではITの基盤を築き、長期では会社の目指すところとホームページをフィットさせる。まずは5年かけて、目標達成のお手伝いをします。そのための予算もいただきます。

結果、ホームページの管理数は新潟県内最大級の顧客数ということです。

私たちの財産は、サービスの解約率が8%と極端に低いことです。コーポレートサイトの作成は大きな利益が出るものではありません。だから、20年前に手を出していた大手各社は次々と手を引きました。

これまで、お客様のなかには「アテンドは高いから」と去っていったところもあります。しかし、実際にはすべてにおいて適正価格を貫いています。だからこそ「高いから」と他社に行って戻ってきた会社も多いですし、解約率も低いのです。

そんななか、2002年にWEB集客と風評被害対策に特化した有限会社「アスプロ」を設立。目的はどこにありましたか?

「アスプロ」は、ネット風評被害の対策や、検索エンジンからサイトへの流入を増やすSEOが目的でした。きっかけは、私自身が風評被害に晒されたからです。ビルを建てたら、生意気だとか何とか。新潟県内ではネットの誹謗中傷で悲しい事件も起きていましたし、企業もあることないことを書かれて困っていました。

何とかしたいと思って、当時ヘッドハンティングしたプログラマーに「こんなの作れるかな?」と言ったら、できたんですね。それで、風評被害の監視やWEB集客のサービスに特化した会社を作りました。

2017年にはアテンドグループの商材を使って代理店営業する「アークH.D」を立ち上げました。

アスプロの成長が想像以上で、ネット風評被害対策をサポートしているエンドユーザー様の中には、一部上場企業も増えてきたので、対外的な信用を考慮してアークH.Dに営業窓口を置き換えました。

アークH.Dは、アスプロの事業内容を引き継ぐ形でスタートし、主に首都圏の販売パートナー様を通じて、全国の中小企業のWebマーケティングの支援を行い、エンドユーザーは10,000社を超えています。

近年の数字を見ても、グループの売り上げ、利益ともに年々大きくなっています。

お陰様で売上、利益ともに順調に成長し、グループ全体として、体力的には安定していると評価をいただいています。

ただ、もっとも大切にしているのは、売上ではなく目的です。私たちが何を目指しているかといえば、「新潟のIT利用率を全国1位にしたい」ということ。新潟県はどんなランキングでも20何位。ITでもまだまだ及第点に達していません。アテンドは地域密着で、新潟県内の企業しかやり取りしていないのも、そこに理由があります。

業務や経営に「ターボがかかる」と確信できた

なぜ、M&Aを検討し始めたのですか?

初めはM&Aをまったく考えていませんでした。会社に届くM&Aの資料も、封を切らずにそのままでした。ですから、話が来たときには「ハゲタカが来たか」と(笑)。ただ、右腕のように相談に乗ってくれているA氏が、少し前に、インテグループの仲介でM&Aによる会社売却を行い、「良かった」と。事業拡大を考えていたそうですが、自己資本だけでは難しいと思っていたときに、M&Aによって道が開かれたそうです。そこで、私もほんの参考程度に話を聞いてみようと思い、A氏とインテグループの担当者と3人で会いました。2022年1月のことです。

話を聞いて、すぐ興味が湧きましたか?

いいえ。「弊社は該当していない」が第一印象でした。会社は利益も出ているし、業績も伸びてもいる。ただ、担当の佐藤優哉さんが、いまどきの営業マンとは思えない誠実な方で。31歳とは思えないことをするのです。直筆の手紙、傘を貸したら拭いて返す。メールで質問すれば、夜中でも返事が来る。こちらが思っていたカードを次々と出してくるという感じでした。31歳といえば、ちょうど私自身が営業で全国1位を取った年齢。自分がそのころどうだったかも思い出され、重なりました。

まず、佐藤さんという「人」にひかれたと。

そうですね。私自身、自分を認めてもらって取引に結び付けてきたので、事業相手もまずは「人」だと思っています。ですから、M&Aを行うと気持ちが定まってから、ほかの会社に聞いてみようとも思いませんでした。会社がどうかではなく「佐藤さんがいいと言うなら信用する」と。

M&Aに動いた決め手は何でしたか?

経営的な判断です。佐藤さんの話を聞いているうちに、「いまやっている業務にターボがかかる」と思えたのです。たとえば、アークH.Dで提案している「ノアの方舟戦略」があります。様々な企業の優れた商材を集め、パッケージでクライアントに提供するものですが、もし、M&Aで販売パートナー様が全国各地に増えれば、もっと会社として成長できると思えました。

対外的なメリットを感じた、ということですか?

対外的にも対内的にも「変わるきっかけになる」と思えました。安定した会社にいると、現状に満足して「もっと上に」と思えなくなるものです。そんな社員たちに、ハッパをかけられるよい機会だと思いました。

また、内輪の話をすれば、私自身定年の年齢を迎え、「そろそろ引いたほうがいいかな」と考えていました。また、アークH.Dの社長を務めている息子に「大企業を勉強させたい」という思いもありました。M&Aによって資本が大きくなり、社員が増えれば社員も息子も前進するのではないか、そんな思いです。

驚いたことに、M&Aを検討し始めた段階で、もう社員に話したとか?

通常はM&Aがちゃんと決まるまで言わないそうですね。社員が不安になって離職すれば、安定した経営ができなくなる、そんな懸念もあるのでしょう。弊社の場合、私がこれまでいろいろな旗を突然揚げてきたからでしょうか、「また社長が変なこと始めたな」くらいに思われたようで、社員はあまり動じてはいませんでした。

譲渡相手の決め手も「人」

いくつかの会社から条件を提示され、面談を進めたそうですね。

長岡まで来ていただいて、おひとりずつお話をさせていただきました。いつもそうですが、決めるのにあまり迷いませんでした。

やはり「人」でしたか?

最終的に選んだ「日本グロース・キャピタル」は、投資件数が日本屈指とか。そう聞けば、「いろいろと情報を持っているんだろう」「会社を大きくするプロなんだろう」と思いましたが、規模が大きすぎて正直、想像がつきませんでした。ですから、会社がどうなのかではなくやはり人間対人間でした。

日本グロース・キャピタルは、息子さんである健太郎さんへの評価も高かったとも聞きました。

私から見れば息子ですし、「甘いな」としか見えないんですが、後継者としての資質を評価してくださったようです。いいところを見つけてくださったなら、もっと伸ばしてくれるのではないかという期待も抱けました。

社員には、どのように伝えましたか?

「私ではない人が評価したらみんなも会社も、もっと伸びると思うから、がんばれよ」と伝えました。急に奮闘した社員もいれば、ちょっと寂しい様子を見せる社員もいます。これからだと思います。

「これから」が楽しみ

最終的に契約が締結されたのは2023年2月。実際に譲渡が実行されて、いまどんな気持ちですか?

「どんな提案をしていただけるのか」と楽しみでなりません。私自身は、一定期間引継ぎ業務を行った上で、第一線を退く予定です。

とはいえ、まだ正直M&Aによる株式譲渡をした実感がわいていません。すべては、これからです。

日本グロース・キャピタルに引き継いでもらいたいものは何でしょう。

アテンドグループの創業当時からの変わらない目標だった「新潟県をITで1位にする」ということ。そして、アークH.Dの目標である「風評被害をなくす」こと。それらが実現されたら、成功と言えるのではないかと思っています。

上村さんご自身は今後、どうされるのですか?

不動産や建築が好きなので、人々の「セカンドオピニオン」として、コンサルティングのようなことをしていきたいなという想いがあります。これまで事業を展開するなかで、あまり無駄使いすることなく、不動産を複数手に入れてきました。それらをリノベーションして価値を上げたり「不動産の使い道をどうしたらいいのだろう」という相談に乗ったり。ITで行っていたコンサルティングを、不動産に代えて行うという展望です。

最後に、M&Aを考えている人にメッセージをお願いします。

私自身がそうだったように「まず、話を聞いてみること」に尽きます。長年、営業をしてきて思うのは、なにも話さないうちから「けっこうです」「用事はない」という方が、とても多いということ。そういう方には「やるもやらないも、聞いてから判断してみてはどうでしょう」と申し上げたいです。人に会い、いろいろな話を聞くことは勉強になることばかりです。

新潟は非常に可能性のある土地だと思いますが、「やる、やらない」の判断が、隣近所に合わせてとなってしまっていることが多い。「自分の理にあっているか」「必要かどうか」を、自分で判断してほしいと思っています。

「会社がもっと伸びるかもしれない」。その可能性をつぶさないように、まずは「聞くこと」です。

インテグループ担当者からの一言
創業23年、業績好調のITサービス会社の第二創業を担う次期代表のご子息と投資ファンドでタッグを組んだ成功事例
アテンドグループ様は、新潟県を地盤とするWebコンサルティング事業(ホームページ制作や、企業のネット上の風評被害対策、SEO/逆SEO対策)を行う会社です。
創業時から上村社長を中心とした役職員の皆さまのお力で、安定且つ高い利益率を実現してきましたが、更にスピード感を持って会社を成長させていくべく、M&Aをご決断されました。
お相手は、日本屈指の投資件数を誇る投資ファンド運営会社の日本グロース・キャピタル様で、担当の方々の誠実なお人柄やご支援内容の提案が上村社長に響き、マッチングすることができました。弊社が仲介として、各種交渉や書類作成等々の調整を行い、友好的なM&Aを実現することができました。
コンサルティング部
シニアマネージャー  佐藤優哉