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M&Aの現場(BLOG)

意外なパートナー

前々から協議を続けていた業務提携案件が成立しました。

本件は、商材は異なる、販売チャネルも異なる、主力の商圏も異なる、しかし、最終顧客の業態がほぼ同じという2社による業務提携でした。
最終顧客が同じであるにも関わらず、相互のビジネス・商流のバッティングがほとんどないという珍しいケースでした。
さらには、商材の相互補完性・親和性が高いというおまけつきです。

ここまで、ピッタリくる提携先が見つかることは珍しいと思うのですが、興味深いのは、両社は業界内ではそれなりの大手であるにもかかわらず、弊社が引き合わせるまで、互いのことを全く知らなかったということです。
外からみれば同業界に見えても、業界内部では細分化されていて、完全に別業界という位置付けだったようです。

弊社からすれば、商材の親和性と顧客が同じであるという単純な事実に基づき、提携の提案をしたわけですが、業界サイドからすれば目から鱗だったようで、業界外の素人目線が功を奏した結果となりました。

国内市場が縮小する中、より効率的に売上を伸ばすためには、今回のような業務提携は実効性が高く、このような提携は、資本が絡むケースも含めて今後も増えてくると思います。

籠谷智輝

17/Oct.2011 [Mon] 21:28

子会社の売却

先日成約した案件は、子会社の売却でした。

この子会社は、親会社で販売する製品のみを製造している所謂製造子会社でした。以前は、親会社以外にも売り先があり、売上全体のかなりの部分を占めていたのですが、直近では外部販売がなくなり、オーバーキャパシティの状態に陥っていました。

当該子会社を、同業の製造会社に売却することで、売り手である親会社は本業に経営資源を集中することができ、また、子会社は買い手の傘下で販路を増やし、生産量を拡大させることが可能になりました。

工場で働く従業員も、生産量が増えてやりがいが出る、また、人員も増えるので楽しくなると、大変喜んでいらっしゃったのが、印象的でした。

グループ内では本来の価値を発揮できない子会社を他社へ売却することにより、売り手・買い手、そして、売却対象となる子会社全てにとって、大きなプラスの影響が生み出されます。

本業に関連しない子会社や、規模が小さく非効率な子会社を抱えている中小企業は意外に多く、このような子会社の売却は、今後も増えて行くと考えられます。

籠谷智輝

07/Jul.2011 [Thu] 21:24

ライバル企業への売却

先週成約した案件は、食品系の会社の同様ライバル企業への売却でした。
売却先として最初に思い浮かぶのは、同業他社ですが、実はライバルの同業他社への売却というのはそれほど多くはありません。

なぜなら、一つには、売り手がライバル企業に売却するのは心理的抵抗感が強い場合が多い為。

もう一つの理由は、同業の場合、買い手から良い条件が出てきづらい為です。異業種であれば、ビジネスモデル、ノウハウも含めて事業の価値を評価してくれますが、同業であれば、単に顧客が欲しいということになってしまいがちだからです。

先週成約した案件は、買い手が売り手を買収することによって、業務効率化の余地が大きいところが一つの決め手になりました。

またこの案件は、震災後に初めて相談を受け動き出した案件ですが、一般的にはこういう時期は様子見となりがちですが、異例のスピード成約でした。

藤井一郎

20/Jun.2011 [Mon] 21:22

葬儀会社のM&A

先日、葬儀会館を1ホール運営する小規模な葬儀会社のM&A案件が成約しました。

本件は、知見のない特定地域への進出を検討していた大手葬儀社に対し、当該エリアで長年の実績を誇るA社の買収を提案したものです。

本件は、買い手のニーズと売り手のニーズがピタリと合致したことから、とんとん拍子で話が進み、買い手への提案からわずか2ヶ月でクローズするというスピード案件となりました。

A社の社長からは、大手の葬儀会社の傘下で、安定的にビジネス展開できることを、大変喜んで頂き、以下のような過分なお言葉を頂きました。
「最初、大手企業への売却を提案された時には、当社のような小さな葬儀社がM&Aの対象になるとは夢にも思わなかった。今回、このようなご縁を頂けたのは、インテグループさんのおかげで、大変感謝している。当社のような小規模な葬儀社の中には、今後の単独での経営に不安を覚えている会社も多いはず。そのような全国の中小葬儀社に、M&Aという選択肢があるということを、インテグループさんの力で、どんどん広めて行って欲しい。」

本件の成功要因は、弊社の力などではもちろんなく、A社の地元でのブランドや良好な財務状態、葬儀会館の清潔さ、及びA社社長の誠実さ・信頼感です。
どんな会社でもM&Aの対象となるわけではありません。
A社及びA社社長が素晴らしかったからこそ、今回のご縁があったのです。

とはいえ、できる限り多くの事業承継等に悩むオーナー社長に、M&Aという選択肢を提供したいという思いは、弊社の創業以来の経営理念でもあります。全国の中小企業に、M&Aのチャンスを提案して行くのは、M&Aアドバイザーである我々の責務であると考えています。
A社社長からの激励の言葉に、身が引き締まる思いがしました。

本件は、売り手と買い手のニーズの合致、事業シナジー、両社経営陣の人柄の相似性等、どれをとっても、ベストマッチであると思っています。
A社社長の今後の実りある人生とA社の更なる発展を祈念してやみません。

籠谷智輝

業界別M&A情報:葬儀・葬祭会社のM&A・売却・譲渡

11/May.2011 [Wed] 21:16

本当の交渉力

留学中のビジネススクールで、Negotiationというクラスがありました。
そのクラスの冒頭の教授の言葉が、“You don’t get what you deserve, you get what you negotiate”というものでした。
要するに、ビジネスでは、手に入るものは全て交渉で決まるということです。
なんともアメリカ的な考え方だなと思いつつ、非常に興味深い視点だと感じたのを覚えています。

M&Aでは、通常のビジネス取引以上に、この交渉が重要になります。
譲渡価額はもちろんのこと、引継期間、譲渡後の職位、従業員の雇用、社名等、契約書に記載される全てが交渉で決まると言っても過言ではありません。

しかし、いくら交渉が重要だとはいえ、中小企業のM&Aでは、礼儀をわきまえない交渉のやり方や、非常識なハードネゴシエーションは、控えるべきだと思います。

M&Aにおける最大の交渉ポイントは、譲渡価格です。
当然、売り手はより高く売りたい、買い手はより安く買いたいと考えます。
いきおい、できるだけ金額を下げようと、基本合意後に、理不尽な理由で金額の引き下げ交渉をするような行儀の悪い買い手も出てきます。

しかし、企業買収で最も重要なことは、買収した会社が買収金額以上の価値を保ち続けることです。中小企業のM&Aでは、M&A後の売り手の社長サポート次第で、その価値が左右されることも多く、交渉において、礼節を欠くやり方をしたり、度を超えた無理な減額交渉は、売り手の信頼感を損ない、M&A後のサポートに潜在的・顕在的な悪影響を及ぼす可能性があります。
交渉で安く買い叩いても、その金額以下に価値が下がってしまっては、本末転倒です。

M&Aにおいては、表面的な条件についての交渉力を超えた、企業買収本来の目的を達成するための真の交渉力が必要となるのではないでしょうか。

籠谷智輝

15/Apr.2011 [Fri] 21:13

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