優秀な企業内M&A担当者の要件②
優秀な企業内エムアンドエー担当者の要件の第二の要件です。
(第一の要件については、こちらをご覧ください)
(第三の要件については、こちらをご覧ください)
②質問の優先順位が適切である
案件についての質問の順序で、担当者のエムアンドエーの経験値が概ね分かります。
案件を紹介を受けた場合には、まずは、ビジネス面での親和性を検討し、その上で財務面で問題ないかを見ていくというのが、一般的な流れです。
したがって、案件の情報が提示された際に、まず最初に聞くべきは、そのビジネスについて質問(ビジネスモデル・収益性・顧客・強み・弱み・特徴・競合)です。
財務面ももちろん重要ですが、初期の段階では、概要資料に記載のある重要ポイント(売上規模、純資産額、有利子負債の額、利益率、売却希望金額等)さえ抑えておけば十分でしょう。
ところが、経験の浅いM&A担当者は、質問の焦点が、最初から財務の細かい部分に行ってしまうことがあります。
特に、財務・経理部の方がM&A担当者となっている場合には、ご自身の得意分野ということもあって、初期の段階から財務諸表の非常に細かい部分質問をしてきます。
財務面に全く問題がない健全な会社であっても、自社のビジネスにとって親和性がないのであれば、買収対象とはなりえません。
したがって、最初に精査すべきなのは、売却対象会社のビジネス面なのです。
財務面については、初期の時点では、大きな問題がないかを確認しておけば十分であり、会計科目の細かい内容まで把握する必要はありません。
(蛇足ですが、最初から財務の細かい質問をしてくる会社ほど、後になってビジネス面でのシナジーがないという理由で見送りとなることが多いです。)
また、質問の優先順位がつけられない担当者は、売り手社長との初回のトップ面談の際にも、非常に細かい財務諸表についての質問を浴びせて、売り手社長の心象を悪くしてしまうこともあります。
トップ面談は売り手社長から直接話が聞ける折角のチャンスなのですから、ビジネス・従業員・企業文化についてのお話しを聞き出すことに集中すべきです。
財務についての財務に関する質問は、あとから書面のやりとりでも十分対応可能なのです。
籠谷智輝
07/Mar.2013 [Thu] 12:05